初夏、青空に向かってすっと伸びる花茎の先で、無数の小花が星のように咲き広がる――。
アガパンサスは、眺めるだけで体温がひとつ下がるような“涼景”をつくる多年草です。
しかも 植えっぱなしで毎年咲くほど丈夫。公園や街路樹下に多く植えられているのも納得のタフさです。

この記事では、
- アガパンサスの基本情報と特徴
- 花言葉
- 育て方・管理方法
- 花が咲かないときの原因と対策
- 株分けのコツ
まで解説します。
アガパンサスの育て方で悩みをお持ちの方、アガパンサスをこれから育てようと考えている方、初夏に爽やかなお花を咲かせる多年草をお探しの方はぜひ参考にしてください。
アガパンサスはこんなお花
基本情報
アガパンサスは南アフリカ原産の多年草です。日本には明治時代に渡来したと言われています。
- 科 属: ヒガンバナ科 アガパンサス属(旧:ムラサキクンシラン属)
- 原産地: 南アフリカ
- 学 名: Agapanthus
- 英 名: African lily
- 和 名: 紫君子蘭(むらさきくんしらん)
- 開花期: 6月〜8月(暖地では5月下旬から)
ギリシャ語の 「agapa(愛らしい) 」 と「anthos(花)」からアガパンサスと名付けられたとされています。
ユリに似た花をたくさん咲かせるので英名で「アフリカンリリー」、和名で「紫君子蘭」とも呼ばれています。

花言葉
アガパンサスには次の花言葉がつけられています。
- 恋の訪れ
- 知的な装い
- ラブレター
- 優しい気持ち
- 恋の季節
- 誠実な愛
ギリシャ語の 「agapa(愛らしい) 」 と「anthos(花)」が名前の由来であることから、恋愛にまつわる花言葉が多いのが特徴です。

アガパンサスの特徴
初夏の庭を一気に華やかにする存在感
アガパンサスは、すらりと伸びる花茎の先に無数の小花を球状に咲かせるため、ひと株でも十分な存在感があります。花壇の奥行きや高さをつくる“構造植物”としても優秀で、宿根草の植栽計画でもよく採用されます。

ほぼ放置でも毎年咲く強健さ
南アフリカ原産のため、乾燥・暑さ・日差しにとても強く、地植えならほぼ手間いらず。多年草の中でもトップクラスの丈夫さを持ち、公共の花壇や街路樹下で多用されるのもその強健さゆえです。

葉姿が美しく、花がない時期も見映えする
アガパンサスは花だけでなく、半常緑〜常緑のつややかな葉も魅力。ボリュームのある葉が株元を覆い、花がない季節でも花壇の下草として美しくまとまります。
土質を選ばず、放任でよく広がる
一般的な庭土で問題なく育ち、肥料が少なくても毎年開花します。株が大きくなるほど花数も増え、年を経るごとに見応えが増していく“育てて楽しい多年草”です。
風に揺れる涼しげなシルエット
高く伸びた花茎が風に揺れる姿は非常に涼しげで、梅雨から夏のじめっとした季節に清涼感を与えてくれます。和風・洋風どちらの庭にも自然に溶け込み、庭の雰囲気を軽やかにする効果があります。

アガパンサスの育て方
栽培環境
アガパンサスは日当たりと水はけの良い環境を好みます。
半日陰でも育ちますが、日当たりが不足すると花が咲かないときもあります。なるべく日の当たる場所で育てましょう。
植え付け
土質はほとんど選びませんが、水はけの良い土に植えるのが望ましいです。
鉢植えの場合は、市販の培養土に赤玉土を混ぜるなどして水はけを良くした土に植え付けます。また、アガパンサスは根の生育が旺盛なので小さな鉢に植えるとすぐに根詰まりを起こします。6号鉢以上の大きな鉢に植え付けましょう。
地植えの場合は、植え付ける土に腐葉土をたっぷりすき込んで水はけを良くしてから植え付けます。
水やり
アガパンサスは乾燥には強いですが過湿には強くないので、水のやり過ぎには注意が必要です。
鉢植えの場合は、土がしっかりと乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水やりをします。
地植えの場合は、暑くて雨が降らない日が極端に続かない限り水やりは必要ありません。
肥料
手をかけなくても良く育つので、肥料を与えなくてもある程度は元気に育ちます。ただ、栄養が不足すると花が咲かない場合もあります。花付きをよくするためには肥料は必要です。
春と秋の生育期に緩効性肥料を与えます。
夏越し
アガパンサスは暑さに強いので、夏越しするのに特別な作業は必要ありません。
冬越し
アガパンサスは冬の寒さにも強いです。ただ強い霜にあたると弱る場合もあるので、マルチングなどの寒さ対策をしてあげましょう。
葉が傷んでも株は翌年復活することがほとんどです。

増やし方
アガパンサスは株分けで増やすことができます。適期は4月から5月頃、9月から10月頃です。
根を痛めないように丁寧に掘り上げ、葉が10枚程度ついているのを目安に大きめに株分けします。あとは植え付けて根付くまでしっかり水を与えて完了です。
花が咲かない場合の原因と対処
日光不足
花が咲かない理由としてまず考えられるのは日光不足です。アガパンサスは日の光が大好きな植物です。なるべく日の当たる場所に移動させて育てましょう。
根詰まり
アガパンサスは根の成長が旺盛なため、小さな鉢に植えると根詰まりを起こす場合があります。1年から2年に1回程度、大きめの鉢に植え替えたり株分けをしたりしましょう。
肥料不足
栄誉が不足すると花が咲かない場合があります。開花を促進するのはリン酸の比率が高い肥料です。春と秋にリン酸の比率の高い緩効性肥料を施しましょう。
根腐れ
アガパンサスは乾燥には強いですが、過湿には弱く根腐れを起こす場合があります。植えている土がずっと湿っていたら、いったん掘り起こして赤玉土や腐葉土を混ぜ込んで水はけを良くしてから再度植え付けをしましょう。

おすすめの品種
ブルー・デイライト
鮮やかな青紫色の花が咲く代表的な品種。花弁がやや幅広く、全体のボリュームが出やすいため、花壇にひと株植えるだけで華やかになります。丈夫さもトップクラスで、初心者に最もおすすめです。
アルバ
純白の花が上品で美しく、爽やかな印象の品種。青系の花が多いアガパンサスの中で存在感があり、シェードガーデンやナチュラルガーデンと相性抜群。白×緑の配色で清潔感のある庭づくりに向いています。
ピーターズ・ピンポン
丸みのある球状の花形が特徴で、ひとつひとつの花房が大きく、とても華やか。花茎が太く倒れにくいため、風の強い場所にも向いています。品種としての流通量も増えてきており人気が高いタイプです。
クイーン・マム
オーストラリアで育成された大型品種で、花は白地に淡いブルーが入る“バイカラー”。花茎も高く、豪華さで選ぶならこの品種がイチオシ。開花すると庭の主役になるインパクトがあります。
ストリームライン
コンパクトにまとまりやすい中型品種。鉢植えや小さな花壇、狭いスペースにも無理なく収まります。花色は澄んだ青で、草姿が乱れにくく、メンテナンス性の高さも魅力です。
まとめ
アガパンサスは、
- 放任OK
- 暑さ・乾燥に強い
- 毎年よく咲く
- 初夏の花として圧倒的に爽やか
と、初夏の庭づくりに欠かせない存在です。

丈夫で失敗しにくいので、初心者でも安心して育てられます。
ぜひあなたの庭にも、初夏の風に揺れる“愛の花”を迎えてみてください。



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