欧州では、ポジションを背番号で表現することがよくあります。センターフォワードだと9番、トップ下だと10番などです。
そんな中でも、9番であって9番ではない選手のことを偽9番と呼んだりします。
この記事では、そんな偽9番について解説します。
それでは、よろしくお願いします。
偽9番って…なに?
偽9番については前回のバイタルエリアの記事でも少し触れました。
まずは、偽9番ではなく一般的な9番から話をさせていただきます。9番とはセンターフォワード(ストライカー)のことを指しゴールに最も近い場所に位置しゴールを奪う仕事を主にする選手です。
ペナルティエリア付近でゴールチャンスを待ち、チャンスメイクに参加するときも相手のセンターバックの近くで起点になることが多いです。
一方の偽9番は、その言葉の通り9番であるようで9番の動きとは異なる動きをします。
具体的には、本来センターフォワードの位置にいるはずなのに、センターフォワードのボジションからミットフィルダーの位置まで下がったりサイドに流れたりしながら、チャンスメイクをしたりゲームメイクをしたりする選手のことです。
また、偽9番の真骨頂といえば味方のためにスペースを作る動きです。
偽9番の選手がセンターフォワードの位置から離れることで相手のディフェンスにスペースを作り出します。そのスペースにセンターフォワード以外の選手が入り込み、センターフォワード以外の選手にゴールを奪わせるのが真骨頂です。
偽9番の選手は9番以外のストライカーを生み出すとも言えるでしょう。
ちなみにですが、偽9番という呼ばれ方から「点は取れない選手なのかな…」という印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません。
偽9番と呼ばれる選手は、ミットフィルダーの位置まで下がってゲームメイクをしたりチャンスメイクをしつつゴール前に入っていきゴールを奪うことも得意としています。
偽9番として代表的な選手
せっかくですので、偽9番と呼ばれることが多い選手を紹介します。
ロベルト・フィルミーノ
プレミアリーグのリバプールに所属するブラジル代表の選手です。
所属するリバプールでは、モハメド・サラー、サディオ・マネと「最強3トップ」と呼ばれるほど強力な3トップを形成していました。
フィルミーノは17-18シーズンの15ゴールが最多ゴール数のため、得点数など数字だけを見ると得点王を獲得したサラー(17-18シーズンは32ゴール,18-19シーズンは22ゴール)やミラー(18-19シーズンは22ゴール)の陰に隠れがちです。
ただフィルミーノは、味方を活かすプレーが非常に巧みで、チームへの貢献度でいえば得点王を獲得した2人の選手にも負けていません。
ポジションとしては3トップのセンターで9番の位置ですが、中盤の位置まで下がったりサイドに開いたりして相手ディフェンダーを動かし、高い技術でチャンスメイクをして味方にゴールを奪わせる、まさに偽9番といえる選手です。
もちろん味方を活かすだけではなく、ゴール前まで入っていきゴールも奪えますし、大切な場面で貴重なゴールをあげることも多々あります。
ただ、真骨頂はなんといっても味方を活かすうまさでしょう。
リバプールにはかつてストライカーとしてゴールを量産していたルイス・スアレス(13-14シーズンの31ゴールなど)がいました。
フィルミーノはスアレスと比べると得点数では見劣りします。
スアレスはまさに9番の選手で、世界最高レベルのストライカーです。ただ、仮にスアレスがマネやミラーと3トップを組んだ場合、マネやミラーが得点王を獲得することができたとは思えません。
味方を活かすことがずば抜けてうまいフィルミーノがいたからこそ、リバプールの3トップは「最強3トップ」と言われるほどの破壊力を持てたんだと思います。
得点数を見れば明らかですが、ストライカーとしてはスアレスのほうが優れているでしょう。
ただ、同じセンターフォワードのポジションといえどチームで与えられている役割が異なることもあり、 センターフォワードとしてどちらが優れているのか一概に比較することはできません。
これも答えの無いサッカーの面白さだと思います。
【番外編】リオネル・メッシ
言わずと知れたスーパースターのメッシもセンターフォワードの位置で起用されることもあり、その際は偽9番と言われることがあります。
ただメッシはスーパー過ぎるので、偽9番というより「リオネル・メッシ」というポジションな気もします。笑
今シーズン遂にバルセロナからパリ・サンジェルマンに移籍しました。
新しいチームでもポジション「リオネル・メッシ」が許されるのか、メッシ選手がどのようなブレーを魅せてくれるのか、注目してみたいと思います。
偽9番(0トップ)を駆使する監督
ペップ・グラウディオラ
これは非常に難しいですが、思い浮かぶのはグラウディオラ監督でしょうか。
右ウィングの位置で輝いていたリオネル・メッシをセンターフォワードの位置に移し、偽9番として起用したのは有名な話です。
現在指揮をとるマンチェスター・シティでも、本来中盤の選手であるデ・ブライネやギュンドアンをセンターフォワードの位置で起用し、話題になりました。
ただ、偽9番ありきでチーム造りをする監督ではありません。
そもそも、システム(フォーメーション)をそんなに重要視せずに、試合を支配するためにテクニックに優れた選手を配置していくイメージで、所属するメンバーや対戦相手のことを考えて、偽9番(0トップ)を採用することもあるという感じです。
グラウディオラ監督に限らず、ポゼッションやゲームを支配することを重要視する監督が、選手の状況や対戦相手のことを踏まえて偽9番を採用するイメージがあります。
Jリーグに偽9番はいる?
ズバリ思い浮かびません・・・。
Jリーグでのセンターフォワードは、大型でパワフルな外国人助っ人や、ハードワークのできる日本人選手を起用するチームが多いからです。
ただ、最近の浦和レッズの江坂は偽9番と呼ばれるような動きを見せることもあります。
今シーズンの夏の移籍市場で柏レイソルから浦和レッズに移籍したばかりですが、既にチームにフィットし、中心選手になろうとしています。
もともとは中盤のトップ下やサイドの選手ですが、最近ではセンタフォワードの位置で起用されることもあります。
江坂が今後どのポジションで起用され、どのような役割を担っていくのか、偽9番として活躍していくことはあるのか、注目していきたいと思います。
まとめ
さて、今回のテーマは偽9番でした。
今回は偽9番を紹介しましたが、センターフォワードの役割はチームによって様々です。
とにかくゴールを奪う選手、味方を活かし味方のためにスペースを作ることがうまい選手、走り回って前線で起点になる選手、守備を猛烈に頑張る選手などなど、本当に様々です。
センターフォワードの選手がチームでどのような役割を任されチームに貢献しているのか、得点数だけではなくそういったことにも注目してみるとサッカー観戦がまたひとつ充実したものになるはずです。
是非とも、「ゴールを奪うだけでは無いセンターフォワードの役割」に注目してみてください。
それでは、また!
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