春の訪れを真っ先に知らせてくれる花——チューリップ。
コロンとしたカップ状の愛らしい花姿は、世界中のガーデナーを魅了し続けています。

この記事では、チューリップの特徴・歴史・花言葉から、球根の選び方・植え方・育て方、翌年も咲かせるための掘り上げ方法まで丁寧に解説します。
チューリップの育て方でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
チューリップはどんなお花?
チューリップの基本情報
チューリップは世界中で愛される球根植物です。春になるとカップ状の花を咲かせます。
- 科属:ユリ科チューリップ属
- 学名:Tulipa
- 和名:鬱金香(うこんこう)
- 開花期:3〜5月
- 原産地:中央アジア〜北アフリカ
チューリップは秋植え球根の代表格。
冬の寒さにしっかり当たることで花芽が形成され、春に美しく咲きます。

チューリップの歴史|チューリップバブル
16世紀、オスマン帝国からヨーロッパへ渡ったチューリップは、瞬く間に人気に。
特にオランダでは品種ごとに希少価値がつき、1630年代には一球で家一軒分とも言われる価格で取引されました。
世界初の投機バブル「チューリップバブル」として、今なお語り継がれています。
花言葉は「思いやり」
花言葉「思いやり」は、3人の騎士を思いやった少女の伝説が由来とされています。
色別にも花言葉がありますが、共通して「愛情」「優しさ」にまつわる言葉が多いのが特徴です。
チューリップの特徴
7,000品種以上!世界でも屈指の品種数
背丈や花形、咲く時期などバリエーションは非常に豊富。
現在では世界中で育種が進み、7,000品種を超えると言われています。
- 一重咲き、八重咲き
- フリンジ咲き、パーロット咲き
- 原種系の野性味あるもの
- 早咲き〜遅咲きまで幅広い
さらに、早咲き、中咲き、遅咲きがあり、花壇の構成や開花リレーにも使いやすいのが魅力です。
上手に管理すれば翌年も咲く
チューリップは「一度きりの花」と誤解されがちですが、球根を掘り上げて管理すれば翌年も咲かせます。
- 春:開花
- 初夏:地上部が枯れる
- 夏:球根は休眠(高温多湿に弱い)
- 秋:植える → 冬:低温に当たる
- 春:再び開花
このサイクルを守ることで、毎年花を楽しむことができます。
チューリップの育て方
タネより球根で育てるのが一般的
タネから育てることも可能ですが、開花まで5年ほどかかるため現実的ではありません。
園芸では球根または目出し球根を購入して育てるのが主流です。

球根の購入時期
球根は早いと8月下旬頃から売り出されます。ただ、8月下旬頃は売り場が小さくて品数も少なめです。しばらくすれば売られる品種も増えていくので、売り出されたからといって慌てて購入することはありません。
お店が本格的に売り出しを開始する頃に購入するのがベストです。それが大体、9月中旬〜10月上旬ごろです。チューリップ以外の球根も同時期に売り出されることが多いです。
球根の選び方
- 大きく重みのある球根ほど花つきが良い
- 傷やカビがない
- 乾燥しすぎていない(しぼんでいない)
- 底部がしっかりしている
大きい球根=栄養の貯蔵が多い=良い花が咲く
これはチューリップに限らず球根全般に言える鉄則です。
球根の植え付け時期
基本的には、9月ごろ〜12月頃に植えます。早すぎると冬が来る前に芽を出して寒さでダメージを受けます。一方で植えるのが遅いと、低温に当たる期間が不足し、開化しないこともあります。
チューリップの球根は寒さに反応して、芽を伸ばし始めます。とはいえ、球根そのものを寒い外気に晒すことは厳禁です。地中で徐々に寒くなっていく環境がベストです。本格的な冬の到来前に土に埋めましょう。
チューリップの植え方
球根の3つ分くらい(10cm~15cm)の深さに植え付けます。球根の尖った部分から芽が出るので、上に向けて植え付けます。
チューリップは基本的に水はけの良い土を好みます。植え付ける土には、赤玉土や腐葉土を混ぜて水はけを良くしましょう。


植え付けしてしばらくは、根をしっかり張るための大事な時期です。根付くまではたっぷり水やりをします。
芽が出る前の管理
地植えの場合は特に水やりは必要ありません。自然の雨に任せましょう。
鉢植えの場合は、土が乾いたらたっぷりと水やりをします。球根が乾燥しすぎるとうまく育ちません。芽が出るまでは忘れやすい時期なので、意識的に水やりが必要です。
芽が出た後の管理
発芽した後は、期定量の液肥を2週間に1回程度与えます。


花の収穫
翌年も元気に花を咲かせるには、花が終わりきる前に花茎をカットしてタネを作らせないようにします。

もったいなく感じてしまいますが、翌年も元気に咲かせるために必要な作業です。
カットしたチューリップは切り花で楽しめます。

鉢植えの場合は、花後も葉や茎が緑のうちは水やりを続けます。水やりを続けることで、球根が肥大化してくれます。
ただ、花後に肥料を与えると球根が傷んでしまいます。花後は肥料は控えます。
球根の掘り上げ
チューリップは高温多湿が苦手です。球根を植えたまま放置すると日本の夏に耐えられず、腐りやすくなります。
花をカットして地上部が枯れ始めたら、球根を掘りあげます。


振り上げた球根は、半日程度天日干しにします。

天日干しした後は球根の葉や茎、根を取り除きます。

大きな球根に小さな球根がついている場合は、剥がします。
また、薄皮がついていたら、手で剥がします。

これでチューリップの球根の掘り上げは完成です。

あとは秋までこのまま保管し、10月頃になったらまた植えつけます。そうすれば翌年の春にキレイな花を咲かせてくれます。
まとめ|チューリップは育てやすい”春の主役”

チューリップは春の庭を彩る、世界中で愛される王道の球根植物です。
品種が豊富で育てやすく、正しい管理をすれば翌年も咲かせられます。
この記事のポイント
- 球根は9〜10月に購入
- 植え付けは10〜12月
- 芽が出るまでは水切れに注意
- 花後は早めに花をカット
- 夏前に球根を掘り上げて保管
- 秋に再び植えて翌年開花
ぜひ、あなたの庭やベランダでもチューリップのある春を楽しんでみてください。



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