ヨーロッパ旅行の写真で、窓辺いっぱいに赤やピンクの花が咲きこぼれる光景を見たことはありませんか?
あの華やかな風景の主役こそ、「ゼラニウム」。古くからヨーロッパの家々で愛され、街に彩りと香りを添えてきた多年草です。

日本では「高温多湿に弱い」という印象が強かったものの、近年は品種改良が進み、蒸し暑い夏でも育てやすい品種が増えてきています。
この記事ではゼラニウムの特徴と育て方、おすすめ品種を解説します。
ゼラニウムはこんなお花
基本情報
ゼラニウムは南アフリカ原産の常緑多年草で、鮮やかな発色と丈夫さが魅力です。
- 科・属:フクロソウ科 ペラルゴニウム属
- 開花期:4〜6月、10月(品種によっては四季咲き)
- 原産地:南アフリカ
- 学 名:Pelargonium
- 和 名:テンジクアオイ
ゼラニウムの名前は、果実がコウノトリのくちばしに似ていることからギリシャ語の「pelargos(コウノトリ)」が由来です。
ゼラニウムはペラルゴニウムとよく似ていますが、一季咲き性のものをペラルゴニウム、四季咲き性のものをゼラニウムとして区分するのが一般的です。
ゼラニウムの花言葉
真の友情は、ゼラニウムの花が中心に寄り添うように咲くことに由来していると言われています。
ゼラニウムの特徴
バリエーションが圧倒的に豊富
ゼラニウムは花色の幅が広く、赤・ピンク・白・紫・複色などバリエーションが驚くほど豊かです。
1本の花茎から複数の花がこんもりと球状に咲く「ボール状の花房」も特徴的で、寄せ植えでも主役級の存在感を放ちます。

香りの良さと「虫除け効果」で人気
ゼラニウムの葉には独特の爽やかな香りがあり、ヨーロッパでは「虫が嫌う香り」として窓辺に置く文化があります。
科学的に完全に証明されているわけではありませんが、伝統的な生活知として長く親しまれています。
「魔除け・厄除けの植物」として飾られる地域もあり、生活に溶け込んだ存在です。
乾燥に強く、過湿と寒さは苦手
肉厚の葉をもつため乾燥には強め。一方で、
- 蒸れ
- 高温多湿
- 霜・凍結
には弱く、夏越し・冬越しが育て方のポイントになります。
ゼラニウムの種類
ゼラニウムは世界中に数百種以上の品種があり、見た目も性質も実に多彩です。特に代表的な系統がアイビーゼラニウムとセンテッドゼラニウムです。
アイビーゼラニウム
つる性で枝がしなやかに伸び、花が株から溢れるように咲きます。
ハンギングバスケットと相性がよく、風に揺れるやわらかな姿が魅力。

センテッドゼラニウム
葉に強い香りがある品種群です。レモン、ローズ、ミントなど香りの種類も豊富で、ハーブとしても利用されます。
ゼラニウムの育て方
植え付け
適期:生育が旺盛になる春(3月〜5月)または秋(9月〜10月)に行います。
用土:乾燥に強く過湿に弱いため、水はけの良い土に植え付けます。市販の培養土に赤玉土や腐葉土を3割程度混ぜると簡単に水はけの良い土ができます。

栽培環境
ゼラニウムは日の光が大好きなので、なるべく陽当たりの良い場所で育てます。
水やり
鉢植え:土が乾いたらたっぷりとが大原則です。水を与えすぎると根腐れを起こすおそれがあるので注意しましょう。
地植え:根が張るまで(植え付け後2週間後)は定期的に水やりを行います。その後は水やりは特に必要ありません。
肥料
開花期の4月〜7月、9月から10月に定期的に液肥を与えます。
真夏と真冬は生育が緩やかになり肥料を吸収できなくなります。肥料は控えましょう。
切り戻し
ゼラニウムは過湿に弱いため、梅雨に入る前に枝数を少なくして蒸れを抑える必要があります。全体の1/3を切り戻し、株の中心に風が通るようにすると夏越しがラクになります。
また、コンパクトに育てたい場合や木化して株が乱れた場合は定期的に切り戻しをします。
花がら摘み
ゼラニウムの花がらを放置すると、病気になりやすくなります。花房全体の花が咲き終わったら、茎の付け根から花がらを摘み取ります。
植え替え
ゼラニウムは根をしっかり張ることでぐんぐん成長します。根詰まりや根腐れを起こすと元気がなくなるので、鉢植えの場合は一年に一回程度植え替えをします。
大きく成長させたい場合は一回り大きな鉢に植え替えます。コンパクトに育てたい場合は、根を強めにほぐして同じ大きさの鉢に植え替えます。根は切っても再生する力が強いので、思い切った更新をして大丈夫です。

夏越し
ゼラニウムは高温多湿が苦手です。なるべく涼しい環境で育てる必要があります。
梅雨入り前に枝数を少なくして、風通しを良くするだけでも高温多湿に耐えやすくなります。
鉢植えの場合は強い西日のあたる場所を避けたり、軒下で育てたりしてあげましょう。
冬越し
ゼラニウムは雪を被ったり強い霜にあたると弱ります。地植えの場合はマルチング、鉢植えの場合は軒下に移動させたりするなど寒さ対策をしましょう。

ゼラニウムのおすすめの品種
スーパーゼラニウム チャンピオン
ゼラニウム最大の弱点だった「雨・湿気に弱い」という性質を克服した、日本向け改良品種。
真夏でも花を休まず、春〜秋まで長く咲き続けます。
- 花房が大きく、ボリューム満点
- ハンギングにも鉢植えにも合う
- 日本の夏でも葉が傷みにくい
「これなら育てられる!」と初心者からベテランまで人気のシリーズです。


まとめ
ゼラニウムはヨーロッパで何百年も愛されてきた、華やかで香り豊かな多年草です。
品種改良のおかげで日本でも育てやすくなり、四季を通して楽しめる存在になりました。
- 花色が豊富
- 香りが良い
- 丈夫で管理も簡単
- 夏越し・冬越しのコツを押さえれば長く楽しめる
ぜひゼラニウムを育てて、窓辺にヨーロッパの風景を取り入れてみてください。



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