バラやクリスマスローズとともに「ガーデニング三種の神器」と呼ばれるほど人気の高いクレマチス。
イギリスでは “Queen of Climbers(つる性植物の女王)” とも称され、バラのパートナーとして欠かせない存在です。

この記事では、クレマチスの基本情報から特徴、剪定の違い、育て方のコツ、初心者向けおすすめ品種までを分かりやすく解説します。
クレマチスはこんなお花
クレマチスの基本情報
クレマチスは北半球の温帯に広く分布するつる性植物で、日本にも多くの原種が自生しています。
- 科 属 :キンポウゲ科 センニンソウ属(Clematis)
- 学 名:Clematis
- 和 名:仙人草
- 分 類:宿根草・つる植物
- 原産地:北半球の温帯(日本、中国、ヨーロッパ、北米など)
近年は世界中で品種改良が進み、大輪系・ベル咲き・壺型・四季咲き性など、1000種以上ともいわれる非常に豊富なバリエーションがあります。
クレマチスの花言葉
- 精神の美
→枝やツルがほ細いのに美しい花を咲かせる精神的なな強さに由来 - 旅人の喜び
→ヨーロッパの宿屋でクレマチスが植えられていたことに由来 - 策略
→毒性のあるクレマチスの液体でわざと皮膚をかぶれさせ、同情を誘ったエピソードから由来

クレマチスの特徴
圧倒的な花色・花形のバリエーション
クレマチス最大の魅力は、世界中に300種以上の原種があり、そこから生まれた数えきれない品種の多様性です。大輪・小輪、八重・一重、ベル咲き・壺型など、同じ植物とは思えないほど姿が異なります。庭のテイストに合わせて品種を選びやすいのも人気の理由です。

開花シーズンが長く、品種リレーで“ほぼ通年”楽しめる
早咲き(3〜5月)、四季咲き(5〜10月)、冬咲き(10〜3月)と、咲く時期が品種ごとに異なります。開花時期の違う品種を組み合わせれば、実質「一年中クレマチスが咲く庭」を作ることもできます。
つるの伸び方が繊細で、誘引すれば立体的な演出ができる
クレマチスは葉柄で支柱に絡むタイプのつる植物。バラのように太い枝を巻き付けるのではなく、細い葉柄が優しく絡んでいきます。アーチ・フェンス・オベリスクなどと組み合わせると、空間に立体感が生まれ、ガーデンの完成度がぐっと上がります。
剪定タイプによって初心者にも育てやすい
クレマチスは「新枝咲き・旧枝咲き・新旧両枝咲き」と開花習性が明確に分かれています。とくに“新枝咲きタイプ”は前年の枝を気にせず切って大丈夫なため、初心者でも失敗が少なく、管理が楽です。剪定方法の違いを知ることで、安心して育てられます。
年数を重ねるほど株が充実し花数が増える
植え付け直後は控えめな花つきでも、2年・3年と根が充実してくると、驚くほど花数が増えます。多年草ならではの“育てる喜び”が大きく、庭に植えるほど存在感が増す植物です。しっかり根を張れば丈夫で、暑さ・寒さにも強く長く付き合えます。
クレマチスの育て方
栽培環境
クレマチスは 「頭は日向、根元は半日陰」 を理想とします。基本的に日当たりの良い環境を好みますが、根が高温になると弱りやすいので注意が必要です。
- 半日以上日が当たる場所
- 根元は株元のマルチングで涼しく保つ
- 冬咲き常緑系は高温に弱いため、真夏の西日は避ける
植え付け
適期
真夏以外であれば1年中植え付けができますが、秋(10月〜11月)と春(3月〜4月)がベストです。
用土
水はけの良い土に植え付けます。
植え付け方法(ポイント)
クレマチスは根をいじられるのが苦手です。植え付ける時は、根を傷つけないよう丁寧に扱います。
植え替えも苦手としています。1回植えたらなるべく移植させないよう、植える場所をよく考えてから植え付けます。
植え付けの際はつるを1節から2節分は土の中に埋めるのが基本です。これにより、万が一地上部が枯れても地下から新しく芽が出てきます。

水やり
地植え:根付いた後は特に水やりは必要ありません。ただ、真夏の暑さが続き葉がぐったりしてきたら水やりをします。
鉢植え:土が乾いたらたっぷりと水を与えます。真夏は土がすぐ乾くので、様子を見て1日2回程度水やりを行います。冬は地上部が枯れても根は生きているので、水切れに注意します。
肥料
肥料のタイミングは花を咲かせる時期により異なります。基本的には、①新芽が出始める前②一番花が終わった頃③夏の暑さが落ち着いた頃、です。これらのタイミングで緩効性の肥料を施します。
剪定
クレマチスの3つの咲き方に合わせた剪定作業が必要です。
- 新枝咲き:その年の春に伸びた新しい枝に花芽をつける
- 旧枝咲き:前年に伸びた枝が春になるとまた枝を伸ばして花芽をつける
- 新旧両枝咲き:前年に伸びた枝から新しい脇芽が出て花芽をつける
新枝咲き
花が終わったら、今年伸びた枝を半分に切り戻します。2番花が咲いたら花がらだけをカットします。夏の暑さが落ち着いたら、新しく伸びた枝を半分に切り戻します。冬になると地上部分が枯れるので、そうしたら地面から5〜10センチ程の位置まで切り戻します。もし地際に芽が出ていたらその上でカットするようにしましょう。
旧枝咲き
お花が終わったら花首から1節か2節くらいのところでカットします。そのあと新芽が出てきたらその枝から来年お花を咲かせるので、カットせずに大切に育てます。
新旧両枝咲き
お花が終わったら、今年伸びた枝を半分に切り戻します。冬になると地上部分が枯れるので、新芽が出ていない枝はカットします。
誘引
クレマチスをキレイに魅せるためには誘引が必要です。3月から10月にかけての生育期はどんどん蔓を伸ばすので、誘引は欠かさず行います。放置すると、蔓がゴチャゴチャして見栄えが悪くなります。
初心者におすすめのクレマチスは?
初心者には、四季咲き性で新枝咲きの品種がおすすめです。ここでは、おすすめの品種を具体的にご紹介します。
ロウグチ
ベル型のクレマチスです。丈夫で育てやすく、夏でも濃い紫色の花を長く咲かせます。

アラベラ
直径が9センチ程の大きな花を咲かせる品種です。上向きに開花し、かたちが整っているため上品な印象を与えます。
アラベラも非常に強健で育てやすく、初心者にも強くおすすめできる品種です。
まとめ
クレマチスは正しい植え付けと剪定さえ理解すれば、驚くほどよく咲く宿根草です。
開花期間ら花形も多彩で、バラとの相性も抜群。一鉢からでも庭の印象を華やかに変えてくれます。
ぜひ、あなたの庭でも、”つる植物の女王”の美しさを楽しんでください。



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