夏から秋の庭を豪華に彩るダリア。
一輪でも視線を奪う存在感があり、花色・咲き方・サイズのバリエーションは「園芸植物でトップクラス」と言われるほど豊富です。

この記事では、ダリアの特徴・花言葉・育て方・季節ごとの注意点まで、実際に育てた経験からわかりやすく解説します。
ダリアはこんなお花
ダリアはメキシコ中央部〜グアテマラが原産で、江戸時代後期(1840年前後)にオランダ船から日本へ伝来したとされます。
春植え球根として扱われますが、近年はコンパクトな「実生ダリア(種から育つタイプ)」も流通が増えています。
ダリアの基本情報
- 科 属:キク科ダリア属
- 開花期:6〜7月、9〜10月(※真夏は休みやすい)
- 原産地:メキシコ、グアテマラ
- 学 名:Dahlia variabilis ほか
- 和 名:天竺牡丹(てんじくぼたん)
ダリアの花言葉
ダリアには次の花言葉がつけられています。
- 華麗
- 優雅
- 気品
- 栄華
- 裏切り
- 移り気
華やかでポジティブな意味を持つ「華麗」「優雅」「気品」「栄華」という花言葉と、怖くネガティブな意味を持つ「裏切り」「移り気」という花言葉があります。

ポジティブな花言葉は、ダリアの花が優美でゴージャスなことに由来しています。
一方ネガティブな花言葉はフランス革命の頃の逸話からきています。ナポレオンの妻であるジョセフィーヌが庭でダリアを育てていたところ、それを羨ましがった貴族の女性がダリアを盗んで自分の庭で育てました。この裏切りを受けたジョセフィーヌはダリアへの興味を失ってしまいます。この逸話から、「裏切り」や「移り気」というややネガティブに感じる花言葉がつけられています。ただし、学術的に確定した史実ではなく、園芸界で語り継がれる“有名なエピソード”と捉えるのが適切です。
ダリアの特徴
花の大きさ・咲き方がとにかく豊富
- 小輪(5cm以下):可憐で寄せ植え向き
- 中輪(10〜20cm):花壇で主役級
- 大輪(30cm超):迫力満点の“主役中の主役”
咲き方も多彩で、デコラ咲き・カクタス咲き・ボール咲き・シングル咲きなど、「1つの花とは思えないほどのバリエーション」があります。

草丈は品種で大きく異なる
- 30〜50cm前後のコンパクト種
- 1〜1.5mの中〜大型種
- そして 3〜6mに達する「皇帝ダリア」 まで
育てる場所や用途に合わせて選べるのが人気の理由です。

日長反応をもつ「短日性」
ダリアは日が短くなる秋に花が咲きやすくなる短日植物。
そのため、秋の花つきが圧倒的に美しいのが大きな特徴です。
高温多湿に弱い繊細さ
メキシコ高原に由来し、
- 強い直射日光には強め
- 蒸れ・高湿度に非常に弱い
という性質があります。夏に花を休ませる「夏休眠性」があるのもこのためです。
球根は多年草ですが、梅雨の長雨、真夏の蒸れ、冬の凍結に弱く、球根腐敗しやすいです。
環境が合えば毎年楽しめますが、管理にコツがいる植物です。
ダリアの育て方
植え付け
種から育てる場合
球根植物のダリアですが、種から育てられる小さいタイプの品種(実生ダリア)もあります。
実生ダリアを種から育てる場合は4月から5月頃暖かくなってから種まきをします。種まき用のトレイに肥料の入っていない土を入れて種をまきます。無事に芽が出て、本葉が2、3枚出てきたら鉢や地面に植え替えをします。
球根から育てる場合
球根から育てる場合は3月から5月頃に植え付けをします。球根は、堆肥と腐葉土を混ぜた土に深さ5〜10cmのところに植えます。
苗から育てる場合
ダリアを苗から育てる場合、購入したらすぐに大きめの鉢や庭に植え替えます。
ダリアは水はけの良い土を好みます。市販の培養土に赤玉土と腐葉土を3割程度混ぜると水はけが良くなります。
水やり
鉢植え:土が乾いたらたっぷりと水やりをするのが大原則です。水を与えすぎると根がしっかり成長せずに、夏を越せません。水の与え過ぎには注意が必要です。
庭植え:根を張るまで(植え付けから2週間程度)は水やりをします。その後は自然の雨に任せて問題ありません。自然の雨に任せましょう。
肥料
ダリアは開花に多くのエネルギーを使うので定期的に肥料を与える必要があります。植え付けの際に施す元肥のほか、真夏を除いて定期的に追肥をします。
真夏に肥料が残ると弱るおそれがあるため、真夏に肥料が残らないように注意して肥料を施します。
花がら摘み
花が終わりかけたら花がらを摘み取ります。花首のところから折るように摘み取るのがポイントです。
花がらを放置すると見栄えが悪くなるだけでなく、病害虫の原因にもなります。また、株の体力も落ちて花数も減ります。花がらを見つけたらしっかり摘み取りましょう。

わき芽摘み
ダリアは成長すると枝の節々からわき芽が出てきます。大輪のダリアは特にですが、わき芽を放置すると枝がどんどん増えていき、栄養分が分散してキレイな花が咲きません。
これを防ぐため、下から2〜3節のわき芽を残してそれより上のわき芽は摘み取ります。
花数を増やしたい場合はあえてわき芽を残す”ブッシュ”仕立ても可能です。
切り戻し
ダリアは夏の暑さに弱いので、真夏を迎える7月下旬から8月上旬に切り戻しをします。切り戻しをすることで風通しが良くなり高温多湿対策になり、夏越しの成功率が上がります。
また、切り戻しをすることで、新しい芽がどんどん出てきて秋に多くの花を咲かせます。
夏越し
ダリアは高温多湿の日本の夏の暑さが苦手です。夏を乗り切るにはしっかりとした対策が必要です。
- 夏前までにしっかり根を張らせる
- 西日を避け、できれば午後は半日陰
- 水切れと過湿の両方に注意
- マルチングで地温上昇を抑えると効果的

冬越し
冬に霜が下りる地域では球根を掘り上げる必要があります。
- 地上部が枯れたら株元から10〜15cm残してカット
- 球根を掘り上げ、日陰で2〜3日乾燥
- 新聞紙に包み、段ボールに入れて5〜10℃の環境で保存
- 春に植え付け
ダリアのおすすめ品種
黒蝶(こくちょう)
深いワインレッドの花色が、庭の雰囲気を一気にドラマティックに変える人気品種。花は大輪で、光の当たり方によって黒みが強く見えるのが魅力です。切り花でも圧倒的な存在感を放ちます。
カフェオレ
やわらかなミルクコーヒー色でブーケの定番として絶大な人気。茶・ベージュ・淡ピンクが入り混じったニュアンスカラーがとにかく美しく、庭を大人っぽい雰囲気に仕上げてくれます。花姿も整っており写真映え抜群。
ポンポンダリア
球状にぎゅっと花弁が詰まったかわいらしい咲き方が特徴。大輪とは違った繊細な魅力があり、寄せ植えにも使いやすいサイズ感です。花もちが良く、長く楽しめるのもポイント。
ウィズリー
重なり合う花弁が端正なシルエットをつくるフォーマルデコラ咲きの代表格。華やかで存在感が強く、庭の主役にふさわしい品種です。一本咲かせるだけでも豪華になるタイプ。
ベチュラ
一重咲きで軽やかな雰囲気があり、風に揺れる姿がとてもナチュラル。ミツバチもよく訪れるため、自然風の庭づくりをしたい人におすすめです。花壇全体をやわらかく明るく演出してくれます。
まとめ
ダリアは、豪華さと多彩さを兼ね備えた“花壇の主役”のような花。
ダリアは花の美しさだけでなく、生育リズムや品種ごとの個性を知ると育てる面白さが一気に広がる植物です。
夏越しと冬越しのポイントを押さえれば、毎年大輪の花を楽しめます。お気に入りの品種を見つけて、ぜひダリアのある庭づくりを楽しんでください。



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