真夏の強い日差しの下でも元気いっぱいに咲き続ける、夏花壇の主役・マリーゴールド。
鮮やかな黄色やオレンジの花色は遠くからでもよく目立ち、植えるだけで花壇全体を明るくしてくれます。価格も手頃で育てやすく、公共の花壇や学校のプランターに広く使われています。

この記事では、マリーゴールドの特徴・花言葉・種類・育て方・プロがやっている長く咲かせるコツまで、まとめて丁寧に解説します。
マリーゴールドはこんなお花
基本情報
マリーゴールドという名前は “Mary’s Gold(聖母マリアの黄金の花)” に由来します。
キリスト教の祭日にこの花がよく咲いていたことからそう呼ばれるようになりました。
- 科 属:キク科 Tagetes(タゲテス) 属
- 開花期:4月〜12月(※暖地・早植えの場合)
- 原産地:メキシコ・中央アメリカ
- 学 名:Tagetes
- 和 名:千寿菊(センジュギク)、万寿菊(マンジュギク)
開花期は地域により異なりますが、一般的には初夏〜晩秋までが最盛期です。

マリーゴールドの特徴
夏の暑さにとにかく強い
マリーゴールドの最大の魅力は、真夏の高温でも咲き続けるタフさ。
初夏から晩秋まで途切れず咲くため、季節を通して花壇の色づきをキープできます。
一年草のため冬前には枯れますが、その分手入れも簡単で「夏だけ楽しみたい」という人にもぴったりです。

②害虫よけになる“コンパニオンプランツ”として優秀
マリーゴールドは、根からα-ターピネオールなどの香り成分を出し、センチュウ類(線虫)を抑える効果があると言われています。
そのため、下記の野菜と特に相性が良いとされています。
- ピーマン
- ナス
- トマト
- じゃがいも など
※学術的にも Tagetes minuta など一部のタゲテス種はセンチュウ抑制効果が確認されています。
③花言葉には“影のある物語”がある
マリーゴールドの花言葉には、少し切ない意味が含まれています。
- 嫉妬
- 絶望
- 悲嘆
ギリシャ神話で、太陽神アポロンを想い続けた水の妖精クリュティエ(クリスティ)が、やがてマリーゴールドに姿を変えた――というエピソードが元になっています。
その一方で、“変わらぬ愛” という前向きな花言葉もあり、贈り物としても人気があります。
マリーゴールドの種類
フレンチマリーゴールド
もっとも一般的で、花壇やプランターでもよく見かけるタイプ。
低めの草丈に、可愛い小輪の花が次々に咲くため、寄せ植えにも使いやすいのが魅力です。

アフリカンマリーゴールド
大輪で丸い“ポンポン咲き”が特徴。
背丈も高く、花壇の主役として存在感があります。
黄色〜オレンジが主流ですが、近年は珍しい 白花種(例:“バニラ”など) も人気です。

メキシカンマリーゴールド
細い葉と小花が繊細で、香りも強いタイプ。
暑さに少し弱い傾向があるものの、ハーブのような香りが楽しめる品種です。

マリーゴールドの育て方
栽培環境
マリーゴールドは日の光が大好きなお花です。
1日5時間〜6時間以上は直射日光が理想です。ずっと日陰の場所では花付きが極端に悪くなります。

種蒔き
マリーゴールドの種蒔きは基本的に3月~5月の春に行います。発芽の可能性を高めるためには、種蒔き用の培養土やトレイを使うことが望ましいですが、そこまでしなくても高い確率で発芽してくれます。
植え付け
苗から育てる場合は、水はけの良い土に植えつけます。市販の培養土にそのまま植えても問題ありませんが、腐葉土と赤玉土を3割程度混ぜると水はけがよくなります。

水やり
土が乾いたらたっぷりと水やりをします。水を与えすぎると根腐れを起こす恐れがあるので、土が乾いてるのを確認してからメリハリをつけての水やりが必要です。
ハダニがつきやすい季節は、葉にもたっぷり水をかけてハダニから守ってあげます。
肥料
開花期はは、規定量の液肥を定期的に与えます。猛暑が続く真夏は生育が止まるので肥料は控えます。
花がら摘み
花がらをそのままにしておくと、蒸れて腐ったり種をつくるのにエネルギーを浪費したりします。花がらは可能な限りこまめに摘みます。

剪定・切り戻し
マリーゴールドは真夏に生育が止まります。花付きも悪くなるので、草丈を半分くらいにバッサリ切り戻します。それにより、暑さがおさまった頃にまた花を咲かせます。
よくある失敗と対策例
マリーゴールドは育てやすい花ですが、実は“つまずきポイント”がいくつかあります。ここでは、初心者がよく遭遇するトラブルと、その原因・正しい対処法をまとめました。
花が少ない・咲かない
【原因】
- 日当たり不足
- 肥料の与えすぎ(=葉ばかり茂る)
- 花がらを放置している
- 風通しの悪さによる蒸れ
【対策】
- 最低5〜6時間の日光が必要。明るい場所へ移動
- 肥料は 初夏〜梅雨時がメイン、真夏は控える
- 花がらはこまめに摘む(花数が劇的に増える)
- 密植している場合は株間を空けて風通しアップ
葉がベタつく・黒い虫が集まる(アブラムシ)
【原因】
春〜初夏の柔らかい新芽にアブラムシがつきやすい。周囲に雑草が多いと発生率上昇。
【対策】
- 早期発見:毎日の“ながらチェック”が一番効果的
- 少量なら 水で吹き飛ばす or テープで取り除く
- 多い場合は 浸透移行性の殺虫剤(オルトランなど) を株元に散布
- 周りの雑草を減らして居場所をなくす
葉が白くなる・粉っぽくなる(うどんこ病)
【原因】
- 風通しの悪さ
- 水切れと過湿を繰り返すストレス
- 涼しい時期に発生しやすい
【対策】
- 茂りすぎている場合は 軽く切り戻して風通しを改善
- 葉にかからないように、株元へメリハリある水やり
- 市販の 予防スプレー(カリグリーンなど) も有効
夏に急に元気がなくなる・株が間延びする
【原因】
- 真夏の高温で“生育が一時停止”する
- 花がら摘み不足でエネルギー消耗
- 切り戻しをしていない
【対策】
- 暑さのピーク前後に、株を1/2〜1/3ほど切り戻す
- 切り戻し後は明るい日陰で回復させるのがベスト
- 秋には再び勢いよく咲き出すので心配しなくてOK
下葉が黄色くなる・枯れてくる
【原因】
- 過湿による根腐れ
- 栄養不足
- 古い葉が自然に枯れる生理現象(よくある)
【対策】
- 土が常に湿っている状態はNG
- 受け皿に水を溜めない
- 追肥で軽く栄養を補給
- 自然に枯れる下葉は取り除き、風通しを良くする
花が小さい・色が薄い
【原因】
- 土の栄養不足
- 夏の高温ストレス
- 日光不足
【対策】
- 液肥を定期的に(成長期のみ)
- 真夏は無理に咲かせず、切り戻して秋に備える
- 最も日当たりの良い場所へ移動
すぐ枯れてしまった(苗の初期トラブル)
【原因】
- 植え付け直後の根傷み
- 深植えしすぎて根が呼吸できない
- 水のやりすぎ
【対策】
- 根鉢は崩しすぎない
- 植え付けは 株元の“根本が少し見える程度”が適正
- 植え付け後1週間は、直射日光を少し避けて根が回復するまでケア
まとめ

マリーゴールドは、暑さに強く、長い期間咲き続け、野菜のコンパニオンプランツとしても大活躍する万能な花です。価格も手頃で育てやすく、初心者からベテランまで幅広く愛されています。
夏の花壇を明るく彩りたい方や、長く楽しめる一年草を探している方には、まさにぴったりの植物です。
ぜひこの記事を参考に、育てやすくて頼もしいマリーゴールドを楽しんでみてください。



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