ナデシコは、日本の文化や和歌にも登場するほど古くから愛されてきた花。可憐な見た目ながら育てやすく、ガーデニング初心者からベテランまで幅広く支持されています。
近年では欧米由来のダイアンサス系品種も増え、カラーや草姿が豊富になり、寄せ植え・花壇どちらでも活躍します。
この記事では、ナデシコの特徴・代表品種・育て方のコツ・よくある失敗と対策まで解説します。
ナデシコはこんなお花
基本情報
ナデシコは北半球を中心に世界各地に300種類以上あるといわれている多年草です。日本でも古くから愛されており、日本最古の和歌集である万葉集でも詠まれています。
- 科 属:ナデシコ科 ダイアンサス属(Dianthus)
- 原産地:北半球の温帯域(日本・中国・ヨーロッパなど)
- 開花期:4〜8月(品種により春〜秋咲きも)
- 学 名:Dianthus
- 和 名:撫子
カーネーションを除いたダイアンサス属を一般的にナデシコと呼びます。撫でたくなるほどかわいらしい花であることが名前の由来です。

花言葉
「大胆」という花言葉はナデシコのイメージからすると意外な感じもしますが、赤く花咲くナデシコが派手で大胆だとされたことに由来しています。
「純愛」はナデシコのイメージ通りです。ナデシコが咲かせる繊細なお花がお淑やかな女性を連想させることに由来しています。
ナデシコの特徴
繊細なフリル状の花びらが魅力
ナデシコの最大の特徴は、切れ込みが深いフリル状の花びら。
糸のように細いタイプから、レースのように広がるタイプまで品種によって表情が大きく異なります。寄せ植えでも単体でも、花に動きが出て華やかさを演出できます。
多年草で“扱いやすい”丈夫さ
ナデシコは多年草の中でも管理が容易な部類で、環境さえ合えば1株でも長く花を楽しめます。高温多湿にだけ注意すれば、初心者でも花付きの良い株に育てやすいのが魅力です。
園芸品種が豊富で好みに合わせやすい
ダイアンサス属は園芸品種が非常に多く、花の形・色・草丈・耐暑性など、目的に合った品種が選びやすいのも特徴です。
寄せ植え向きの矮性タイプ、ガーデン向きの強健種、香りがある品種など、用途が広がります。
初夏から秋まで長く咲く“コスパの良い花”
品種によりますが、春〜初夏に咲いたあと切り戻しをすれば、秋にもう一度咲くことが多い花です。
比較的少ない手入れで花期を長く保てるため、ガーデニングの満足度を高めてくれます。
ナデシコはピンク色や白色、赤色などの小さなお花を咲かせます。花びらは細い切れ目の入ったものや糸状の繊細なものなど様々です。その繊細な姿から日本では古くから女性や子ども表す植物として愛されています。

ナデシコの種類
ナデシコの種類は300種類はあると言われています。日本に馴染み深い花ですが、ヨーロッパ原産の品種もあります。ここでは、代表的な品種を紹介します。
カワラナデシコ
秋の七草の一つとされており、日本各地に自生しています。河原(カワラ)と名前がついているように、河原などで自生しているナデシコです。
近年は外来種の影響で数が減少していると言われています。
繊細な糸状の花弁が特徴的な品種です。

セキチク
平安時代に中国からやってきたナデシコで「カラナデシコ」とも呼びます。葉のかたちが竹のようなのでセキチク(石竹)と名付けられたとされています。
代表的なナデシコで、丈夫で育てやすく初心者向きです。花径が大きく、色も豊富な品種です。

ヒゲナデシコ
原産地はヨーロッパで、苞がヒゲのように伸びることからヒゲナデシコと呼ばれます。
小さい花を集まって咲かせるボリューム感が魅力の品種です。

タツタナデシコ
ヨーロッパ原産の多年草ナデシコです。花に蛇目模様があるのが特徴です。銀白色の葉も印象的で、冬でも観葉植物として楽しめます。

ヒメナデシコ
ヨーロッパ原産の園芸品種です。欧米で人気のある品種で、繊細な草姿が特徴的です。発芽しやすくこぼれ種でもよく増えます。

ハマナデシコ
海岸や砂地で自生するのでその名がついたとされています。葉が厚くツヤツヤしているのが特徴です。

ナデシコの育て方
栽培環境
ナデシコは日の光は好きですが、高温多湿が苦手です。半日以上は日のあたる風通しの良い場所で育てるのが理想です。
それが難しい場合でも、なるべく日当たりの良い場所で育てましょう。
植え付け
ナデシコは多湿が苦手なため、水はけの良い土に植えつけます。
鉢植えの場合は、市販の培養土に赤玉土と腐葉土を3割程度混ぜると水はけがよくなります。

地植えの場合は、腐葉土をたっぷり混ぜん混んでから植え付けます。
水やり
水やりは土が乾いたらたっぷりとが基本です。ナデシコは多湿が苦手なので、水やりの際は花や葉になるべく水がかからないように注意します。
地植えの場合は、植え付けて根が張るまでは水やりをします。2週間程度で根が張りますので、その後は水やりは特に必要ありません。
肥料
開花期に規定量の液体肥料を施します。肥料が切れると花付きが悪くなるので、こまめに肥料を与えましょう。
夏越し
ナデシコは高温多湿が苦手です。蒸れると弱るので、梅雨に入る前に草丈の半分くらいまで切り戻します。
鉢植えの場合は、雨が当たらない風通しの良い涼しい場所に移動させるなど、厳しい蒸し暑さから守ります。
冬越し
ナデシコは耐寒性があるため、冬越しにはそれほど神経質になる必要はありません。ただ、雪に覆われたり、強い霜にあたったりすると弱ります。
鉢植えの場合は軒下に移動させ、地植えの場合はマルチングをするなどの寒さ対策をします。
ナデシコの増やし方
多年草のナデシコは何年も楽しむことができますが、株が古くなると花が咲きにくくなります。そうなる前に、挿し芽で株を更新することでより長く楽しむことができます。
挿し芽はきれいな新芽を斜めにカットして、鹿沼土や赤玉土にさします。その後は水切れを起こさないように水やりをします。そうすると、2週間から1か月ほどで発根しますので、土に植え替えます。5月や9月などの涼しい時期に行うと成功率が高くなります。
よくある失敗と対策
梅雨〜夏に株が蒸れ、弱ってしまう
原因
- 葉が密になり通気性が悪い
- 雨ざらしで長時間濡れ続ける
- 切り戻しをしていない
対策
梅雨前に草丈の1/2まで切り戻して通気性を確保します。鉢植えは雨の当たらない涼しい場所へ移動します。夏は午前日向・午後は半日陰にし、風通しを最重要視します。
水の与えすぎで根腐れする
原因
- 常に湿った土で根が酸欠になる
- 花や葉に水がかかり、蒸れやすくなる
- 水はけの悪い土を使用している
対策
「土が完全に乾いてからたっぷり」の基本を守ります。水は株元へ静かに与え、葉にかけないのがポイント。鉢植えは水はけの良い培養土+赤玉土・腐葉土で調整します。
花付きが悪くなる
原因
- 開花期に肥料切れを起こしている
- 夏の高温期に肥料を与えて株を弱らせている
対策
開花期は 液肥を7〜10日に1回、または 緩効性肥料を置く などして定期的に栄養補給します。ただし、夏の暑い時期は肥料を控えるのが鉄則です。株が弱る原因になります。
古くなった株が咲かなくなる
原因
多年草の宿命で、株が大きくなりすぎると中心がスカスカになり開花力が落ちる。
対策
春(5月)または秋(9月)に挿し芽で株更新。好調な時期の新芽を使うと成功率が高まり、若返った株で再びたくさん開花します。
花茎が徒長する(ひょろひょろに伸びる)
原因
- 直射日光が不足し、光を求めて茎が伸びすぎる
- 室内や日陰で育てている
対策
最低でも4〜5時間以上の十分な日光がとれる場所へ移動。午前の日向+午後の明るい日陰でも安定して育ちます。
まとめ
ナデシコは、可憐な見た目とは裏腹に丈夫で、正しい管理さえ押さえれば毎年美しく咲いてくれる植物です。特に近年は園芸品種が豊富で、色・形・草姿も選び放題。花壇・寄せ植え・切り花など用途が広く、庭づくりの主役にも脇役にもなります。
ぜひこの記事を参考に、あなたの庭でもナデシコの魅力を楽しんでください。



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