箱根・塔之沢に佇む「元湯環翠楼」は、大正8年築の木造建築がそのまま残る数少ない老舗温泉旅館。登録有形文化財に指定される建物は、現在では再現できない贅沢な木材や大工技術が随所に残り、“時が止まったような空気”が漂っています。
今回は、そんな環翠楼に実際に宿泊した体験を詳しくレポートします。
- 歴史ある旅館が好き
- 静かで風情のある宿に泊まりたい
- 源泉かけ流しの温泉を楽しみたい
そんな方には、きっと刺さる宿だと思います。
元湯環翠楼の概要|登録有形文化財に泊まれる貴重な木造旅館
環翠楼は大正8年(1919年)に建てられた木造三階建ての旅館。
木造建築の美しさがそのまま残り、館内には文化財プレートも掲示されています。
館内の説明によれば、伊藤博文、水戸光圀、夏目漱石、島崎藤村など、歴史上の偉人・文豪も訪れたという由緒ある宿。
特に伊藤博文は、この宿の名付け親として知られています。

- 住所:〒250-0315神奈川県足柄下郡箱根町塔之沢88
- アクセス:箱根湯本駅から徒歩約13分
- 公式サイト:元湯環翠楼
- 泉質:アルカリ性単純泉(pH8.9)
元湯環翠楼にチェックイン|玄関からすでに漂う大正ロマン
チェックインは午後3時〜。
環翠楼の駐車場は道路を挟んで向かい側にありますが、この道が意外と交通量が多いので注意が必要。無事に渡ると、まずは近代的な新館が見えますが、本館の入口はそこから坂を少し下った場所にあります。



玄関に足を踏み入れると、ふわりと漂う木の香り。古い木造ならではの「懐かしい匂い」が旅情を一気に高めてくれます。

チェックインでは、箱根の名店「ちもと」のわらび餅が提供されます。これが驚くほど美味しい。帰りに箱根湯本で買って帰ろうと心に決めました。


客室「清流」に宿泊|庭園と川のせせらぎに癒やされる和室
今回宿泊したのは1階の「清流」客室。9畳の本間に広縁がついた、昔ながらの落ち着いた和室です。

銘木をふんだんに使った室内は、華美すぎず、けれど品がある。庭園越しに川のせせらぎが聞こえ、まるで時代を巻き戻したような静けさが広がります。


冷蔵庫は有料ドリンクがしっかり入っているため、持ち込みの飲料を入れるスペースは少なめです。

部屋の扉に使われている昔ながらの鍵や、寄木細工のティッシュケースなど、細部のひとつひとつに“昭和レトロ”の風情が残されているのも魅力でした。


客室風呂(源泉かけ流し)
客室のお風呂も源泉かけ流し。
白大理石の浴槽は思った以上に広く、好きなタイミングで温泉に入れるのは大きなポイント。
温泉の香りも柔らかく、肌当たりがとても良い湯でした。

アメニティ
アメニティは必要最小限ですが、浴衣・足袋・タオル類はしっかり用意されています。


元湯環翠楼の館内施設|まるで博物館のような歴史展示が充実
歴史と文化財を感じる館内
館内の随所に文化財の証明が掲示されており、「この建物がどれほど貴重なのか」が自然と分かります。大正時代の共同洗面所や古道具がそのまま残されていて、館内散策はちょっとした博物館のよう。

歴史的にも有名な数多くの方が訪れた環翠楼。水戸光國や伊藤博文、桂小太郎ら夏目漱石や島崎藤村など歴史や文学に疎い人でも聞いたことのある名だたるビックネームたちですね。
大正ロマン
大正時代の共同洗面所がそのまま残っています。使いませんが…笑
ラウンジや廊下の静けさ、レトロな照明など、旅館全体が“大正ロマンの世界”に迷い込んだような空気感です







共用ラウンジです。静かで落ち着くことができそうなスペースでした。使ってないですが…笑


お風呂の奥には卓球台があり、遊べるようです。

温泉|貸切風呂・貸切風呂・岩盤浴
泉質はpH8.9のアルカリ性泉。
温泉管理のスペシャリストがお湯の温度を調整してくれているとのことです。肌にやさしく、湯あたりしにくい名湯です。
貸切風呂
貸切風呂は予約制ではないので、空いていれば入ることができます。15時~翌9:30まで利用できますので、チェックインからチェックアウトまでほとんどの時間は利用できることになります。


露天風呂
露天風呂は男女別です。ただ、10時から翌4時までは貸切になります。予約は必要ないので、空いていれば入ることができます。


岩盤浴
有料ですが、岩盤浴もあります。

フロントにお願いすれば、専用の作務衣を持ってきてくれます。

夕食(部屋食)|季節の恵みを味わう懐石風料理
夕食はお部屋食です。時間は18時から。
山の幸や海の幸をふんだんに使った月替わりの懐石風料理です。ひと品ひと品の味わいが丁寧。過度な演出はなく「真っ当においしい料理」という印象です。






仲居さんが絶妙なタイミングで運んでくれるため、ストレスなくゆっくり食事を楽しめました。
朝食(部屋食)|湧水で炊いたご飯が本気で美味しい
朝食もお部屋食です。時間は8時から。
特に驚いたのは“お米の美味しさ”。箱根の湧き水で炊いているとのことで、ふっくらと甘みがあり、ついついおかわりしたくなる味でした。

チェックアウト
チェックアウトは10時。箱根の観光施設が9時オープンのところが多いので、9時前にはチェックアウトして出発すると効率よく回れます。
まとめ
環翠楼は、“歴史を泊まる”という体験ができる貴重な宿でした。
文化財の建物、源泉かけ流しの温泉、部屋食の料理、館内の静けさ――そのすべてが調和して、独特の世界観を作り出しています。
箱根で落ち着いた時間を過ごしたい方、歴史や建築が好きな方には特におすすめの宿です。



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