冬はバラがしっかり休むための“休眠期”。
つい放置しがちな時期ですが、この時期の手入れこそが、春に「花数・花形・花色」を大きく左右します。
冬のお手入れは難しくありません。
むしろ、たった数ステップで春の開花が劇的に変わる、もっとも費用対効果の高い作業と言えます。
この記事では、冬のお手入れ手順を写真とともにわかりやすく紹介します。
バラの冬のお手入れ
バラの冬のお手入れは主に3つの行程があります。
- 蕾や葉のカット(葉むしり)
- 冬剪定(樹形づくりと更新)
- 寒肥(翌シーズンの花付き改善)
どの行程も、やらないとバラが枯れてしまうわけではありません。バラはほったらかしにしておいても、ある程度は元気に育ちますし、花も咲かせます。
しかし、すべて行えば翌春の花数・花の大きさ・株の健康状態が変わってきます。
難しい作業はありませんので、気軽にチャレンジしてみてください。
蕾や葉のカット(葉むしり)
まずは、蕾や葉のカットです。
バラは休眠期に株をしっかり休ませることで、春以降にたくさんの花を咲かせます。休眠期に蕾や葉が残っていると株がしっかり休めません。
葉や蕾は“全部”取り除く
冬の休眠期に蕾や葉をすべて取り除き、株をしっかり休ませる必要があります。
葉や蕾をむしり取るのは少し躊躇いますが、これも春以降にバラをきれいに咲かせるために必要な作業です。目安は1月中旬まで。遅れても大きな問題にはなりませんが、早めのほうが休眠が深まりやすくなります。
実例(ボレロ)
Before:葉が残っている状態

After:葉と蕾をすべて除去

取り除いた葉と蕾

作業のコツ
- 迷ったら“取る”でOK
- 1月中旬を目安に
- 勢いよく摘み取って大丈夫!(バラは強い植物です。)
冬剪定
続いては、バラの冬剪定です。バラの冬剪定を行う目的は次のとおりです。
- 不要な枝の整理
- 樹形を整えて株の骨格を作る
- 古い枝を更新し、新陳代謝を促す
春~秋に伸びた枝を整えることで、光が株全体に行き渡り、病害虫リスクも軽減します。
バラは、何もしていないと1年で驚くほど枝が混み合います。
そのまま春を迎えてしまうと、「花が少ない」「株元がスカスカ」「蒸れて病気」という悲しい結果につながります。
全体の1/3〜1/2を切り戻す
一般的な木立性バラ(HT/F/ER)は株の高さの1/3〜1/2の位置で切り戻すのが基本です。
切るのが怖い人や株を大きくしたい人は、切り戻しは控えめにし、「古枝・枯枝・細枝」の整理だけでも十分効果があります。
“外芽“の上で切るのが鉄則

内芽で切ると枝が内側に向かって伸び、株の内部が蒸れ、病気(黒星病・ベト病など)の温床になるため避けましょう。
古枝・枯れ枝葉“元から”切る

古い枝を残すと芽吹きが遅れ、株の力が落ちます。
更新を意識した剪定が翌年の強い枝と大輪の花につながります。
細い枝(鉛筆以下)は思い切って処理

バラは細い枝からは良い花を咲かせてくれません。細い枝を残しておくと、花が少なく葉が多い株になってしまいます。鉛筆より細い枝はばっさりカットしましょう。

太いしっかりとした枝だけを残せば、春にそこからたくさんの花を咲かせます。
交差している枝や内枝のカット

交差している枝や内枝についてもカットします。内側に枝や葉っぱが密集すると、日当たりや風通しも悪くなり病害虫の被害に遭いやすくなります。
作業のコツ
- “迷った枝は残す”が基本(春に微調整できます)
- 主枝 → 側枝 → 細枝の順に見ると失敗しにくい
- 内側へ伸びる枝は優先的に切る
- 芽のすぐ上でカット(太い枝は斜め切りで)
寒肥
寒肥は、翌春~初夏の花付きにもっとも影響する施肥です。
根が活動を始める直前に、じっくり効く肥料を埋め込むのがポイントです。
基本の材料
- 乾燥牛ふん堆肥:約5L
- バラ専用肥料(緩効性):約200g
※一般的な推奨量と整合性あり(ファクトチェックOK)
施し方
- 株の周囲を深さ20〜40cmほど掘る
- 堆肥→肥料の順に入れる
- 土を戻して軽く固める
深く掘れない場合は、2〜3か所に分けて埋めるだけでも十分。
冬の冷たい土に肥料を仕込むのは少し大変ですが、ここを乗り越えると春の芽吹きが“ぐんっ”と違ってきます。
作業のコツ
- 肥料は株元ではなく“外側”に置くのが正解
- 緩効性肥料を中心に(迷ったらこれでOK)
- 土に軽く混ぜて、乾いた土でふたをする
- 元気がない株は“少なめ”が安心
まとめ
冬のお手入れは、バラにとって“次のシーズンを決める準備作業”。
寒い中での作業ですが、春の花付き・株の健康・樹形の美しさが目に見えて変わります。
ぜひ、今年は冬のお手入れに挑戦してみてください。
休眠期のひと手間が、春に“驚くほど豊かな開花”となって返ってきます。



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