偽サイドバックという言葉を聞いたことありますか?
最近、サイドバックの役割がますます注目を集めています。なんとサイドバックが主役のサッカー漫画まで登場しています。
それだけ、サイドバックの重要性が増し、注目もされているということですね。
近年のサイドバックは、タッチライン際を縦横無尽に駆け回るだけでなく、試合をつくる(ゲームメイクする)役割も求められており、サイドバックなのに司令塔と呼ばれることもあります。
このようにサイドバックに注目が集まってきているなか、偽サイドバックという役割をこなす選手が増えてきました。
サイドバックなんだけど、従来のサイドバックの動きではない…。
この記事ではそんな偽サイドバックについて解説します。
それでは、よろしくお願いします✨
偽サイドバックってなに?
サイドバックといえば、次のような選手をイメージしますよね。
- サイドを縦横無尽に走り回る
- 攻撃時はサイドからクロスをあげる
- 守備時は相手のウイングの選手を止める
日本代表のDF長友やDF酒井などは、運動量が豊富でタッチライン際の上下運動を繰り返し、1対1にも強い、まさにTHEサイドバックという選手です。
一方、タッチライン際から離れ、中盤真ん中の低い位置でゲームメイクをしたり、バイタルエリアの位置でチャンスメイクをしたりすることを得意とするサイドバックの選手もいます。
そんな選手のことやそんな選手のプレースタイルを偽サイドバックといいます。
「中盤の低い位置でゲームメイクとか、バイタルエリアでチャンスメイクって中盤(MF)の選手じゃん。」という感じですよね。
それこそが、サイドバックなんだけどサイドバックではない偽サイドバックといわれる所以です。
最近のJリーグの試合でも、「あれ?サイドバックなのに中盤の位置にいる?」という選手が少なくありません。
偽サイドバックといえばこの選手!
具体的な選手をイメージしたほうが分かりやすいので、偽サイドバックと呼ばれる選手を紹介していきます。
登里享平選手(川崎フロンターレ)
まず1人目はJリーグから。川崎フロンターレのDF登里享平です。
Jリーグの偽サイドバックというと、横浜F・マリノスのDF松原やコンサドーレ札幌のDF西大伍が思い浮かびます。
ただ、ここはフロンターレ枠でDF登里を紹介させてもらいます。笑
DF登里は、相手ディフェンスと相手ディフェンスの間でボールを受けるのがうまいプレイヤーです。
本来、サイドバックはタッチライン際でボールを受けたがります。
その位置であれば、相手から受けるプレッシャーが少なくてすむからです。
一方、DF登里は相手ディフェンスと相手ディフェンスの間、ボランチの選手に近いポジションをとることがあります。
サイドバックの選手がこのポジションをとると、相手は誰がプレッシャーにいくのか迷います。
それにより相手は混乱し、ディフェンスのマークが少しずつずれていきます。相手を動かすポジショニングといえますね。
ただ、この位置にポジションをとると、相手のプレッシャーを360度どこからでも受けることになります。 そうすると当然ボールを失うリスクも高くなりますね。
そのため、高い技術がないと相手ディフェンスと相手ディフェンスの間でボールを受けることはなかなかできません。
また、タイミングも重要です。サイドバックがずっとボランチの位置にては、相手のディフェンスは混乱しません。
相手の位置を見ながら的確なタイミングでポジションをとる、高い戦術眼も必要です。
的確なタイミングで相手ディフェンスの間にポジションをとる戦術眼と、相手のプレッシャーにも負けない確かな技術がないとできないプレーといえます。
これらを高いレベルで備えている選手だからこそできるプレーであり、誰でも簡単に真似できるプレーではありません。
また、DF登里はタッチライン際の上下運動も高いレベルでこなしますし、1対1にも強いです。
高さはありませんが、万能のサイドバックです。あと数年若ければ日本代表に選ばれてもおかしくない選手だと思います。
ジョアン・カンセロ選手(マンチェスター・シティ)
マンチェスター・シティに所属するポルトガル代表の選手です。
皆さんはカンセロロールという言葉を聞いたことがありますか?
DFカンセロに与えられた役割や、DFカンセロのプレースタイルをカンセロロールと呼びます。
マンチェスター・シティの戦術によるところもありますが、カンセロはピッチの至るところでボールを受けて相手を混乱させる選手です。
ボランチの位置でゲームメイク
- パターン1
- パターン2
- パターン3
インサイドハーフの位置でチャンスメイク
- パターン4
どうでしょう。まさに変幻自在です。笑
本来はサイドバックの選手ですが、サイドバッグのポジションにこだわらず、本当にいろいろな場所にポジションをとります。
サイドバックなんだけどサイドバックではない、まさに偽サイドバックです。
偽サイドバックの強み
偽サイドバッグが、本来のサイドバックとは異なるポジションをとったりすることから偽サイドバックと呼ばれることは説明しました。
それでは、なぜそのような動きをするでしょうか。
相手ディフェンスを混乱させる
大きな狙いの一つが相手ディフェンスを混乱させることです。
サイドバックがタッチライン際で上下運動を繰り返しても、相手のディフェンスはそんなに混乱しません。
一方で、サイドバックの選手が登里やカンセロのようなポジションをとると、相手は混乱し、マークにズレが生じます。
現代サッカーでは、ブロックを作って守備をするチームがほとんどです。
それをどのように崩していくのかというのはどのチームにおいても大きな課題です。
これを解決する手段の一つが偽サイドバックだといえます。
相手と相手の間にポジションをとり、相手を混乱させ、相手を動かし、ブロックに穴を空ける。
偽サイドバックの大きな効果の一つです。
中盤で数的優位をつくる
偽サイドバックの選手は、サイドのタッチ際に張りついているだけでなく、中盤の位置にポジションをとることができます。そのため、中盤で数的優位をつくり、中盤を支配しやすくなります。
ボール保持を重要視するチームでは、サイドバックに偽サイドバックの役割を求めることが多いです。
マンチェスター・シティや、川崎フロンターレ、横浜F・マリノスなどが典型的です。
ウイングの選手の能力を活かす
サイドバックの選手がボランチのポジションなどをとることで、相手ディフェンスは全体的に中に絞ります。
そうすると、ウイングの選手に広いスペースが生まれ、ウイングの選手が1対1を仕掛けやすくなります。
以前川崎フロンターレに所属していた三笘薫は、JリーグMVP級の圧倒的な活躍を魅せていました。
登里のウィングを活かすポジショニングが三笘の能力を最大限引き立てていたということもできると思います。
日本代表の攻撃の改善策!?
日本代表は、サイドバックが自由にボールを持てる展開だと攻撃が停滞する傾向にあります。
カタールワールドカップグループリーグ第二戦のパラグアイ戦の前半もまさにそうでした。
ただ、そこから効果的な攻撃を仕掛けることができず攻撃は停滞し、結局前半の途中で3バックにシステムを変更しました。
長らく日本のサイドを支えたDF長友やDF酒井は、タッチ際の上下運動を繰り返し、タフに戦える素晴らしい選手です。
ただ、相手にどっぷり引いて守られた場合に、ポジショニングを変えて相手を動かしたり、攻撃に変化を加えるのが得意なタイプではありません。
引いて守るチームに対しては、偽サイドバックと呼ばれる選手を積極的に起用しても面白いのではないでしょうか。
まとめ
以上、今回は偽サイドバックについて解説をしました。
ますます注目を浴びているサイドバック。サイドバックの動きに注目してサッカーを見てみるのもおもしろいかもしれませんね✨
それでは、また!
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